ビロードの口づけ 獣の森編


 やっぱり敗北した。

 ジンは時々クルミの肌に口づけながら、てきぱきと着衣をはぎ取っていく。


「心配するな。あんたを脱がせるのは苦にならない。むしろ楽しいくらいだ」


 最後の一枚をはぎ取り、ジンの指先がクルミの頬をゆっくりとなぞった。


「その期待に満ちた恥ずかしそうな顔がたまらない」


 見つめる瞳が目の前でゆっくりと細められ、意地悪な表情を刻む。
 確かに期待していると思う。
 けれどそれをジンに悟られていたのが恥ずかしい。

 クルミはジンの視線を避けて顔を横に向けた。
 ギュッと目を閉じた時、耳元でジンが囁いた。


「クルミ、愛してる」


 そして耳たぶを甘噛みする。

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