ビロードの口づけ 獣の森編
クルミと一緒に裏口から城内に入る。
まっすぐに二階にあるクルミの部屋へ向かった。
部屋に入って奥まで進むと、ちょうどライが書棚を元に戻しているところだった。
側に立ってその様子を眺めていたミユがクルミに気づき笑顔で駆け寄ってきた。
「奥様ーっ! よかった、ご無事で」
「心配かけてごめんね。しばらく壁を叩いたりしてみたんだけど気付いてもらえなかったから」
クルミがいない事に動揺したミユは、大騒ぎで部屋の中を探し回っていたらしい。
壁の向こうから聞こえる微かな音に気付かなかったようだ。
「申し訳ありません!」
「いいのよ。じっとしてなかった私も悪いんだし」
深々と頭を下げるミユに、クルミは笑って答える。
書棚を元に戻したライがニヤニヤ笑いながらこちらにやって来た。