たとえば彼と 〜貴弘編〜
タカヒロと…
家を出たものの
実家に帰る気分にもなれず
街をさ迷っていると
酔っ払いに絡まれてしまった。


「あれ〜お姉ちゃん
こんな時間に一人で何してんの?
暇なら一緒に飲もうよ」


「えっあの…困ります」


酔っ払いに肩を組まれ
動けずにいると突然
誰かが声を掛けて来た。


「すみません。
俺の連れなんで失礼します」


酔っ払いから助けてくれた
その人は私の手をしっかり握り
歩き出した。


そして通りの角を曲がったとこで
足を止めると握っていた手を
放しこちらを振り返る。


「急にごめんね。
大丈夫だった?」
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