【短編】拝啓、初恋のキミへ。



「美佳。

俺のこと殴って。…気のすむまで何発でもいいから」



そう言われ、私は手を振り上げた。



なんて。



殴るわけないよ。


ぶたなくたって、こんなに辛そうなのに?………



咲也くんは、変わってなんてなかった。



私は、振り上げた手をそっと咲也くんの頬に当て、笑った。


「もう一回、名前……呼んで?」


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