IMITATION LOVE
びっくりしすぎて、なぜ会ったこともない人が私の名前を知ってるのか…とか、もしかしたら不審者かもしれない…とか、そんなことは頭から抜け落ちてて。
思わず私が頷くと、その人はホッとしたように笑みを浮かべた。
「大きくなったね、世羅。
さあ、こちらへ座って?静香は手術中だから…。」
「あなたは…誰ですか?」
すすめられた椅子に座りながら、私の口からこぼれ落ちた疑問に、その人は困ったような表情を浮かべた。
「長い話になる。…でもいつかは言わないといけないからな…。
とりあえず、僕はこういう者なんだけど」
そう言って自分も向かいの椅子に座り、その人は私に1枚の名刺を差し出してきた。
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夏目株式会社取締役
夏目 寛之
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「取締役……夏目寛之さん?」