IMITATION LOVE
「「ありがとうございました!
お気をつけてお帰りください」」
小さい頃から言い慣れた言葉を深いお辞儀とともに、駐車場から去っていく車に、隣に立つママと声を揃える。
「さーて。片付けしちゃおうか。」
うーん、と思いっきり背伸びをしながら言うママは、お客様の前では絶対に見せない、完全なオフモード。
「うん。今日の夜、次のお客様が来るんでしょう?」
「海水浴シーズンだからね。
世羅が夏休み入っててよかったわ。」
ありがとうね、と目を細めるママに、私はどういたしまして、と呟いた。