IMITATION LOVE





思わず固まっていると、左隣に立つパパがゴホン…と咳ばらいをする音で我にかえる。





…いけない!
挨拶しなきゃっ……。




「……お初にお目にかかります。

花岡世羅です。」




「花岡という名は口にするな。」





ぴしゃりと感情のない冷たい声に、返事が震える。




「…すみません。」




「お父さん、世羅は長い間”花岡”で生きて来たんです。

大目に見てやってください…。」




「甘ったれたことを言うな。

どれもこれも、あの頃を思い出させる。

…いつまでたってもいけ好かない。


上がらずに、用件だけ伝えるからな。」





吐き捨てるような鋭い言葉に、隣のパパも固まるのを感じた。





< 30 / 67 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop