IMITATION LOVE
『大河内要です。
よろしくね、夏目世羅さん。』
そう言ってにっこり笑った大河内さんとは反対に、私はぎこちない笑みだった気がする。
だって……。
こちらがどうしようもないほどに気後れするほど、大河内さんは非の打ち所のない人だったんだもの。
スラッとした背丈は、私よりはるかに高くて。着ているスーツも惜しみなく似合ってて。
バランスよく整った顔に、ちょっとくせっ毛のような髪の毛をワックスで遊ばせている。
…おまけに、近づくといい香がするし……。
……本当に、私この人と結婚するのかしら…。
なんとも言えない緊張でいっこうに減りそうにもない料理を前に、私はまたため息をついた。