IMITATION LOVE
「はい、花岡です」
宿泊の予約の電話かな?
そう思っていた私は、次の瞬間、通話相手から放たれた言葉に背筋が凍るのを感じた。
「警察の者です。花岡静香さんのご家族の方ですか?」
警察!?
…ちょっと待って…ママに何かあったの!?
”花岡静香”は、紛れもなくママの名前。どうして…警察がママの名前を出すの…?
胸騒ぎを押し殺して、震えそうになる声を必死に抑えて、私は、はいと言った。
「花岡静香さんの乗る車が坂道でダンプカーに接触されました。
ダンプカーは接触後すぐ逃げ去ったため、今追っています。
花岡静香さんは全身にガラスを浴び、破片が数ヶ所に渡り皮膚内に入りこんでしまったため、今から第一病院で摘出手術を行います」