モルフェウスの誘惑 ※SS追加しました。
「何でも屋ですか…」


「そう、引っ越しから猫探しまで何でも」


「はあ…」


「と、言っても実際は僕の親父さんが弁護士事務所やってて、ほとんど親父さんの下請けの状態だな」


と、言いながら村嶋 美登(むらしま みと)はテーブルにコーヒーカップを置いた


窓際のデスクに座る杜に目を向けると、相変わらず表情ひとつ変えることなく窓の外を見ていた


いつも、窓の外を見ている杜を見て


一体、この男は窓の外の何を見ようとしているのだろうか…


漠然とした考えが美雨の頭を過った


どこか、遠い所をみているような…
現実ではない何かを見ようとしているような
美雨は杜から目が離せなかった


が、美登の明るい声であっという間に現実に戻された


「美雨ちゃんモデルやるの?」


「ええ…」


「そっか、だけど杜に惚れちゃダメだよ。杜の心はある人に囚われたままだからね」


「美登っ、余計な事言うな」


ほんの少しだけ、杜の表情が厳しくなる


「何だよ、これから美雨ちゃん口説こうと思って先手打ってるのに…はいはい、何も言いませんよ」


わざとらしく、両手を挙げ降参ポーズを取ると、デスクに座り美登は仕事を始めた


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