モルフェウスの誘惑 ※SS追加しました。
「どういう事ですか?」


人気のドーナツ屋の列に並びながら、村嶋 美登に聞き返す


「この前さ、あいつが美雨ちゃんに何を言ったかは聞いてない。だけど、大体の事は想像がつくよ」


ゆっくりと並んだ列が進んでいく


「杜はいつだってそうなんだ。気に入った物ほど、手放したがるんだ」


「気に入ったもの…?」


「そう、要は天の邪鬼ってこと。だからさ、あれ以来、美雨ちゃん来ないし、もしかしてって思って今日来たんだよ」


「えっ?今日?どうして、ここが…」


美雨は杜や美登には、雑貨屋の事を話してはいなかった
ましてや、場所も…


そんな美雨の表情を読み取って、美登が続ける


「ほら、いったろ?何でも屋だって。それに僕の親父さんは弁護士だって…ほら、例の美雨ちゃんの…」


と、言って右手でサインを書く真似をする美登


「あっ、ああ…」


その仕草で美登が真山の件を把握している事、つまりは美雨の素性を全て知っていること
そして、美雨の動向を調べるくらい容易い事をさとる




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