モルフェウスの誘惑 ※SS追加しました。
俺は昔から絵を描くのが好きだった
俺の母さんの顔もよく描いた
母さんに見せると、いっつも誉めてくれた


一ノ瀬の家に来ても絵は描いていた
けれど、誰にも見せることはなかった
なんとなく、絵なんか描いてちゃダメなんだって思ってた


一ノ瀬の家はとても広く
和風建築の、すばらしい平屋に
とてつもなく広い日本庭園が素晴らしかった
俺はこっそり庭にでては
四季折々の花なんかを描いたりした


ある時、あまり足を踏み入れなかった離に
近づくと、今までは無かったのに人の気配がした


俺は少し怖かったが、思いきって近づいた


すると離にいたのは見たことのない女の子がいた


咄嗟に


「お前、誰だよ」


って言うと


「あなたこそ誰なのよ」


ってキツい口調で言う割りには、とても顔色が悪く弱々しい感じだった


話をすると、彼女は一ノ瀬の人間だった
俺と年があまり変わらないと思っていたけど、実際は兄貴より一才下だった


つまり、俺よりも6歳上の異母姉弟だった








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