モルフェウスの誘惑 ※SS追加しました。
その女はかの子といい、出会った時俺は小6だった


「今までなんで会わなかった?」


「私はね、生まれたときから病弱でね。一ノ瀬の家にとっては厄介な子なの。特に母にすればなんの役にも立たない邪魔者でしかないのよ」


「そんなことって…」


「あるのよ。だけど、一度も母を恨んだりはしていないわ。これだけの家になるとしきたりや受け継いで守っていかなきゃいけないものとか有りすぎるのよ。母はただ、それを必死に守ろうとしているだけ、一ノ瀬に嫁いだ人間としてね」


「ふうん」


とだけ返事をした


まだまだ、子供の俺には理解できなかったからだ


かの子は殆ど、病院にいたらしい
時々、退院しては
長野にある一ノ瀬の別荘で過ごしていたらしい


そして、漸く少し病状が良くなってきた彼女は一ノ瀬の家に戻ってきたのだ

かの子の話を聞くと
あまり、誰とも話すことのない俺が知らなかったのも納得できた







< 60 / 165 >

この作品をシェア

pagetop