恋する私の隣に涙~恋する乙女は涙から逃げられない~
~入学式~
リリリリリリリリ・・・
ガチャ
目覚まし時計が鳴った。それを目を閉じたまま慣れた手つきで止める。
…5分後
リリリリリリリリ・・・
ガチャ
5分おきに鳴る目覚まし。毎朝6時から5分おきに鳴る目覚まし時計と、毎朝6時から5分おきに目覚まし時計をたたく私。寝るのが一番の幸せだとも思える私は目覚ましにこうやって起こしてもらわないと、起きられない。いつもなら5、6回鳴らないと起きない私。だけど、今日は特別。だって、待ちに待った入学式だから。目覚まし時計が2回ぐらい鳴ったところでスパッっと起き珍しく素敵な朝を迎える。こんなに目覚めが良い朝は何日ぶりだろう。いや、何年ぶりだろう。そう思いながらカーテンを開ける。朝の太陽の日差しが眩しいくらいに降り注ぐ。寝起きの私には眩しすぎて目を開けられない。今日からいよいよ高校デビューだと思うと顔が自然と笑ってしまう。「ふゎー」とあくびをしながら手を上にあげ伸びをした。
私の特製トーストとインスタントスープを作り、10分もしないうちに食べ終わり、真新し
い制服を着て前もって準備しておいたカバンの中身を確認。そのあと、家を出ようとした。
プルルルルルルル・・・
あぁ、もうこんな時に誰からだろう。ケータイが鳴る。あれ、梓(あずさ)じゃん。こんな時
間になんの用事だろう。
「もしもし、梓?どうした?」
「あぁ美優?おはよw今日って誰と行くか約束してる?」
「ううん。してないよ。」
「よかった~。じゃ、一緒行こっ♪」
「あー。いいけど、じゃあ今から梓の家に迎え行くね!!」
「早すぎるよ、美優。まだ7時半だよ?案内のプリントに開場午前9時って書いてあったでし ょ?」
「え、マジで。」
「知らなかったの?ま、そういうことだから。8時すぎぐらいにいつもの場所で。」
「はーい。」
そう言って電話を切る。