先輩~梨奈~
その後、リュウトは別のルートから登校したからあたしと先輩は二人仲良く登校した。
おかげで、クラスの子にはひやかされたけど。

…にしても、朝のシャッター音と逃げるような足音はなんだったんだろう?
リュウトも先輩も何も聞こえてないようだったし、やっぱあたしの気のせいだったのかなぁ?!

「おい。
 梨奈」

「へ?
 先輩?!」

そんなことを考えてたら、突然先輩に呼び止められた。
に、しても。

え?
何で先輩が此処に?
此処は一年の校舎の筈…。

しかも、何であたしの教室に居んの?!
どう考えてもおかしいでしょ。

「へ、先輩。
 …じゃねえよ。
 今、ちょっといいか?」

「あ…
 今から担任授業なんであたしは全然大丈夫ですけど」

先輩のほうが、大丈夫かよ?!
あんた、それでも三年?
受験生としての自覚あります?

まぁ、あたしが言えたことじゃないし頭のいい先輩なら大丈夫だと思うけど。

「じゃあ、ちょっとこっち来て」

あたしはそのまま、多目的室に連れて行かれた。
わざわざ教室まで来るほどだから、よっぽどのことなのだろう。

「どうしたんですか?
 わざわざ、こんなところに…」

振り返った先輩の顔は、とても真剣で…
つりあがった目がとても怖かった。

「朝、俺んちの前でのこと覚えてるか?」

先輩の家の前でのことって…

「は…はい」

忘れるわけ無いじゃん。
あんなこと…
やばい。
自然に顔がニヤけてるのがわかる。

でも、なんでそのことを…?

「そん時、カメラのシャッター音がした気がして。
 でも、そん時は気のせいだと思ったんだけど…」

「あたしも聞いた。
 シャッター音」

あの時の、先輩も聞いてたんだ。

「登校して、教室入ったらクラスの女子から呼び出されて。
 噂になってるから気をつけろって言われた」

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