仕返し屋
「やっばい…もうこんな時間だっ!」

マキが腕時計を見て慌てた声をあげた。


美鈴も言われて時計を見ると、時刻は午後7時半を回ったところだった。

いつの間にか、他の社員は帰ってしまっていて、オフィスには美鈴とマキだけだった。

「うわ~。ヤバいよ!食事の約束してたんだった。」


マキはバタバタと帰り支度をしている。

これからデートだろう。

美鈴はそんなマキを憎たらしく思ったが、そんな事を考えていたら、今すぐにでも仕返しが起きそうな気がして、押し殺した。


「美鈴はまだ帰んないの?」

「うん…もうちょっとだから。」

仕返しの内容ばかり気になって、仕事が終わっていない美鈴はまだ残業せざるを得なかった。

「そっか。じゃ、エレベーターホールまで見送って。
缶コーヒーおごるよ。」



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