続・結婚白書Ⅱ 【手のひらの幸せ】
「明日から出社するね 一週間近く休んじゃった みんなに迷惑をかけたなぁ」
夜は当然のように俺の布団にきて懐にもぐりこみ ピタリと体を添わせてくる
手のぬくもりが気持ち良かったのか 俺の手首を掴んで
これも当然のようにパジャマの下の肌に持っていく
「今夜もお願いね 要の手って温かくて気持ちいいの」
年上の女房の頼みに 乳房の下の柔らかな部分に手を置き
ゆっくり円を描くようにさすった
この肌の下の 胃の中が腫れているのかと思うと可哀相で
毎晩円華が寝つくまで柔肌に手を置いた
「無理だけはしないでくれよ」
「うん わかってる」
「お義母さんたちにお世話になったな お礼 何がいいかな」
「お礼なんて いいわよぉ」
「そんなわけにないかないよ 親子でも礼はつくさなきゃ」
「要ってそんなところが 妙に義理堅いよね」
そう言うと ふふっと笑って腕の中で肩が震えた
さすっていた手をずらし 横向きで脇に流れた左の乳房を手におさめる
笑いが小さくなり ふぅ っと甘い声に変わった
「声は小さくな」
円華の耳に囁く
「バカ」
女房の甘えた声が返ってきた
医務室に運んだのは若林課長だったのか なんで黙ってたんだと
今夜こそ円華に確かめようと思っていたが
そんなこと もうどうでもいい
円華は 今 俺の腕の中にいる
それだけでいいんだ
食欲が落ち 一段と細くなった腰を ゆっくりと引寄せた