続・結婚白書Ⅱ 【手のひらの幸せ】


「そう言えば 円華さん ちょっとふっくらしてきたんじゃないか 

仕事も落ち着いたようだし安心だな」



加賀見さんが思い立ったように口にした

そう言えばそうだと 丸田さんも頷いている



「あぁ そうですね 最近良く食べるんですよ 

二人分食べなきゃって言うけど本当ですねぇ」


「二人分って……なにぃ? おまえ まどちゃんを! 工藤 おい こらっ!」



三人組の攻撃をかわすべく ひょいと体をかわす


”工藤 おまえ まどちゃんを押し倒したのかぁー!” 

とめちゃくちゃなことを言ったかと思えば

”まどちゃんがなぁ……そうかぁ……母親になるのかぁ……” 

と しんみりと酒を酌み交わす三人組

その夜は 先輩達に遅くまで付き合った



「よぉ工藤 俺んとこは男ばっかりなんだ 

おまえんとこが女の子だったらウチに嫁にくれ」


「山根 ちょっと待て! ウチもボウズがいるんだ 

工藤のとこが娘なら俺がもらう」


「ちょーっと待った 丸田のところは もう小学生じゃないか 歳が離れすぎだ

それに比べて俺の息子はまだ二歳だ ちょうどいいぞぉ 

工藤 円華さんに言っとけ ぜったい女の子を産んでくれってな」



三軒目の店で 相当酔った彼らは まだ女房の腹ン中の ちっこいウチの子の

話で盛り上がっていた

子供が娘だって決めてかかっている先輩三人組

冗談じゃない まったく勝手に決めないで欲しいね



「いい加減にしてください まだ女だって決まったわけじゃないんですよ 

男かもしれないんですから」


「いーや女の子に決まってる 円華さんが産むんだ 絶対美人だぞ~!」


「もし女だったら嫁にやりません ずっと手元においておきます」


「おまえ 俺達に逆らうのかぁ」



なんだかんだと言いながら 子供ができたのを喜んでくれていた

だけど 生まれてくる前からこんな心配をしなきゃならないなんて 

まったく頭が痛い

俺の新たな心配の種がまた芽を出した




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