続・結婚白書Ⅱ 【手のひらの幸せ】


「円華 体に気をつけなさい 仕事 無理をしちゃダメよ」


「うん 仕事ももう少ししたらメドがつくし 

要も家のことは手伝ってくれるから心配しないで」


「おとうさんじゃないけど……まさか オメデタじゃないでしょうね 

妊娠すると胃が痛かったりするのよ」


「違うわよぉ それくらい私にもわかります」


「そう……でもね その可能性だってあるんだから 

うかつに薬なんて飲んじゃだめよ」


「はいはい わかってます」



妊娠する可能性って……その相手は俺だよなぁ……

親子でおおらかに語られる内容に 聞いてるこっちが恥ずかしくなった

そそくさと玄関を出ようとしたら お義母さんに呼び止められた



「これお米よ 新米を頂いたの 持っていって」



ほかにも たくさんの食材を持たされた

お義母さんは いつもこうして手助けしてくれる




「私ね 結婚してからお母さんとよく話すの 同じ主婦だからかな

家にいるうちに もっといろんな事を教えてもらっておけば良かった……」


「今でも充分やってるよ 気負わずやろう」


「うん」




仕事に家事 

結婚したら 俺より円華の方が生活の変化があったはずだ

俺に出来ることはやろうと思った





製造機械の設備拡張のため 

他の工場から応援の技術者が派遣されたのは それから間もなくのことだった

課長クラスが一人 あとは若い技術屋が二人

その中の一人の名前が 若林とあったが そのときは何も思わなかった




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