お星様になりたい


その日は、暗くなるまでずっと、あたし達はひよりの傍から離れなかった。


病院からの帰り道、三人で帰っていると、不意に登真が立ち止って空を見上げた。

無言で空を見つめる登真につられ、あたしと新も静かに見上げた。

そこには、つい何日か前に、ひよりが言っていた「お星様」が夜空いっぱいに広がっていた。



二人がその時どんな気持ちで空を見上げていたのかは今でも分からない。


だけど、あたしはどうしても、その時に感じた気持ちを表す言葉が思いつかなかった。



ただ、どうしようもなく悔しかった。






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