お星様になりたい
校門を出てすぐ、あたしはフェンスに寄りかかる、金髪の男が目に入った。

明らかにうちの高校の制服ではない、灰色のパーカーを着たその男は、雰囲気的に多分同じ高校生だと思う。


ああいう、悪そうな奴と関わると、ろくなことが無い。


あたしは、そのまま無視して、男の前を横切った。





「ねえ、さっきの金髪の男の人、超イケメンじゃなかった?!」

グループで一番の面食いが、こらえ切れなかったように、不意にそうまくしたてた。


すると他の友達も、口ぐちに同意した。


ああ、そう言えば顔、見てなかったな。


「ねえ、初果もそう思わなかった?」

急に話を振られ、慌てて「うん」と返事をした。


「ほらあ、初果はもてるのに、全然男に興味ないもんね。
高校生なんだし、もったいないよ?」


…確かに、男にはこれっぽっちも興味がない。

「彼氏」とかそういうの、あたしの「夢」には全く必要のない存在。むしろ足を引っ張られるだけだ。




< 28 / 44 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop