お星様になりたい
次の日の朝、いつも通り早めに登校し、教室で勉強していると、朝連が終わったらしい男子が不意に、あたしに声をかけてきた。

「あのさ、昨日、俺が部活終わった後にさ、校門を出た所で金髪の高校生くらいの男に「市井初果ってこの高校の2年だよな」って聞かれたんだけど、知り合い?」

金髪の…男…?

「いや、多分知り合いじゃないと思うんだけど……」

そこで、あたしは昨日の男のことを思い出した。

「あ、もしかして、グレーのパーカー着てた?」

「え?…ああ、うん。
たしかそれに、すっげーイケメンだったような」


おそらく、確定。




そして、たしかこのクラスメートは……


あ、そうだ、サッカー部の斎藤くん。


「ありがとね、斎藤くん」

すると斎藤くんは朝からさわやかな笑顔で「どういたしまして」と、微笑んだ。

そういえば、友達の杏奈が、斎藤くんのこと好きとか言ってたような……

ま、いっか。


その時、自分の席まで引き返していた斎藤くんが、立ちあがって急にあたしの席までやってきた。

「え、どう……」

「あのさ!その金髪の人、市井の彼氏、とかじゃない、よな……」

尻すぼみにそう言うと、少し照れた様子であたしをゆっくりと見てきた。


あ、この展開は、あれか。


ひとりで納得すると、あたしは笑顔で

「ちがうちがう!あたしも昨日、その人見かけただけだから」

と、釘を刺しておいた。

すると、瞬く間にいつものさわやかな笑顔に戻ると、うきうきと席へと戻っていった。

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