お星様になりたい
「俺さ、転校して半年後に、また違う所に転校したんだ。
両親が離婚して。
俺は親父について、アメリカまで行った。弟はお袋に引き取られた」

「だから、手紙も電話も通じなかったんだ……」

「…ああ、うん。
悪いなとは思ったけど、こればっかりはどうしようもなくて」

正直、びっくりした。
あたしが知っている登真の家族は、両親が仲良くて、お父さんは大企業に勤めて、お母さんはよくあたし達においしいケーキを作ってくれて、弟くんは登真のことが大好きで、いつもくっついてまわっていた。
あたしが、理想とする家族だったのに。

「アメリカの生活は、正直思ってたより悪くなかったぜ?
向こうだと、勉強に意欲のあるやつは、好きなだけどんどん学習できる。
日本は、みんなに合わせるだろ?アメリカは違う。何をやるにしろ、自分に合わせて物事を進めることができる」

そこで話を終えると、登真は、前置きが長くなったけど、と言ってあたしの方を見た。

そのまま、近くのベンチに腰を下ろすと、

「うい、お前、アメリカに来ないか?」

そう言った気がした。





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