お星様になりたい
「…………は?」

言葉の意味が理解できずに、素で返事をすると、登真はそのまま吹き出した。

「ははっ、やっぱ、そうだよなっ、そうなるよな」

登真はそのまま立ち上がると、すぐ隣にある自販機で、カフェオレを2本買い、あたしに1本投げてよこした。



「実はさ、俺、今年で大学卒業するんだ」

あたしは、危うく飲みかけたカフェオレを吹き出しそうになった。

「げほっ、げほっ、今、何てっ?!」

「だーかーらー、俺、もうすぐこっちで言う「大卒」なわけ。
ういも聞いたことあんだろ?飛び級、っていう制度のことくらい。
向こうは9月で年度が替わるから、まだ正式に卒業はしてないけどな」

「そ、そりゃあ、飛び級くらい、知ってるよ!
…でも、その髪で?」


あたしは、思わず登真のその綺麗に染まった金髪に視線を移した。

すると、
「ああ、これ?」
と、登真は自分の頭を指差した。

「これは、まあ、うん、ノリだよ、ノリ。
向こうじゃこんなの普通だしな。
…てか、似合ってないか、俺」


そう言って若干しょんぼりした様子の登真は、残念ながら、この8年で恐ろしいほどのイケメンに成長していた。
いや、多分、幼かったあたしは気付いていなかっただけで、小学生のあの頃から、美青年の片鱗は見せていたんだと思う。

ただ、あれから身長はぐんと伸び、日本人離れしたスタイルを、その金髪はよく引き立たせていた。










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