透明になりたい
「黄色って、キラキラして見えるもん。」


黄色もいいな、って思えた。



みんなそれぞれ好きな色があって、そればかり見つめてる。



だけどあの子はやっぱり違う。



いつも真っ白。



僕の真っ白とは訳が違う。



僕のは跡がある。

塗った跡。いっぱい塗りすぎて浮いている白い物。



それさえないあの子の画用紙は、


本当に絵、そのものだった。



リアル感がなかった。


世界には色が溢れているけれど、


色は、なかった。





黄色が好きなあの子の画用紙はとてもキラキラしていたけれど、




あの子の画用紙は、とても淋しく思えた。
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