透明になりたい
「なんか海陽って、いっつも遠く見つめてるんだもん。」

教室へ向かっているところだったが、美苑が急に足を止める。


「そぉか?」

僕は足を止めない。
美苑は小走りで僕に追いついて、また隣で歩き出す。



美苑は何も知らない。僕のこと。


「何見てるの?」

「気のせいだって。」


美苑はいつも僕を見透かす。


だから苦手だ。


「お前ってさ、好きな色何?」

話を変えて、僕は隣で歩く美苑に聞いた。


「え、何ぃ?なんかくれんの?(笑)」

「別になんかあげるから聞いてるわけじゃねぇよ。」

「ふぅ~ん・・。私はね~・・ん~・・黄色かな♪」

笑ってそう言った。


「・・なんで黄色?」

「・・キレイじゃん♪」

「・・ふぅ~ん。」




キレイ・・か・・・・・




また思い出した。
< 28 / 48 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop