透明になりたい
放課後――今日も僕は1人最後まで教室に残り、その茜色を見た。


「あ、いた!海陽ッ」

僕がその色に浸っていると、その声は聞こえてきた。



「なんだよ、美苑。」

人がせっかくいい気分で浸ってる時に。


僕はめんどくさそうに顔を向けた。



「なんだよ、じゃなくて!帰るよ!」

は?!


「なんでだよ。意味わかんねーし。」

いきなり僕の手を引っ張りだす。


「つーか離せって!」

つい僕はきつく言った後、美苑から手を離した。



「・・・・。」


あ・・・やってしまった。


美苑の顔を見て、僕はとっさにそう思った。



「・・・・ごめん。」


ここは折れた。



「海陽って、いっつも最後まで教室にいるね。」

さっきのことには触れずに話し出した美苑。


「・・いや、いつもじゃねぇし。」

なんとなくその流れにのった。
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