透明になりたい
「先帰ればいいじゃん。」

かばんを奪い取り、正確に言えば渡されたんだけど、、、


僕は美苑と廊下を歩き出す。



「いいじゃん、近いんだし。」

さっさと前を歩く美苑。


「お前さっき職員室に呼び出しくらってたんだろ?そのまま帰えったらよかったじゃん。」


僕はそれに続く。


「いいじゃん、別に。深い意味なしッ」

勝手に話を終わらせようとする。


「意味もなくこんな遅くまで待ってねぇだろッ」

僕はまた無理矢理話を戻そうとする。



「ほんと。困るね、男は。」

は?!


男? まぁ僕は男だが。



「困るって何が。」

早歩きになった美苑に必死についていこうとする僕。


あ。なんだか情けなくなってきた。



「だからぁ!アンタが泣いてんのかと思ったのッッ」

「・・・・」


は?!



僕がフリーズしていると、美苑はまた口を開く。



「いっつもアンタ・・遠く見てるから・・」


美苑は下を向きながらそう言った。
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