透明になりたい

空色

僕が小さかった頃、好きな色を聞いて、一番多かったのは“空色”だった。



みんなが空に夢を見ていたのだろうか・・・




あの、手を伸ばしても絶対に届かない空を。


あの永遠の空に、どれだけの希望を持っていたんだろう・・


小さい僕ながらに考えてみた。



空は大好きだった。

とても広くて、包んでくれる、優しい色。



だけど空は、いつも機嫌がいいわけじゃなかった。


それを知っていた僕は、どうしても好きな色は?と聞かれて「空色。」とは答えられなかった。




僕の好きな色は、白だった。

好きな色は?と聞かれて、「白が好き。」と答えると、周りは変な表情を浮かべた。


友達には、


「なんで色のない白を選ぶんだよ?」

と、嫌味っぽく言われたのを覚えている。
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