【BL】Mythical
彼の家は高級感が漂うマンションだった。
エレベーターに乗り込み、彼は28階を押した。
エレベーターが上昇していく。
僕たちは、無言だった。
いつもと違う環境に少なからず緊張していたのかも。
エレベーターを降りて、彼が立ち止まったのは2805号室の前だった。
「ここです。」
慣れた手つきで鍵を開け、僕を招き入れる。
一人暮らしだからか、玄関に並べられた靴は4足のみだった。
「お邪魔します。」
「どうぞ。散らかってますけど」
彼の後に続いて中に入る。
リビングはとても綺麗に片付けられていた。
と言うよりは物が少ない。
「ここに住んでるんだよね?」
「えぇ、そうです。まぁ、住んでると言っても、寝るためだけに帰ってくるようなものですけど」
「ふーん……」
だからやたらと生活感がないのか。
「何か飲みますか?」
「いや、いい。」
横目で彼を見ると彼は察したように、こっちですと奥の部屋に案内してくれた。