文学少女と秋の空
ジーっとチャックを閉めて、立ち上がる。
そのまま「じゃあね」と言って、バックを持ち歩き出せば、
ガタッと机や椅子の乱れる音がして、
「待てよ!」という矢神の乱れた声と、
バックを持つ手を掴む力強さ。
驚いて振り返れば、目の前に自分より遥かに高い矢神。
真面目な顔で私の顔を見ている。
「俺、アキが好きなんだ」
「……?知ってるよ?」
「そっちじゃないし!
………アキって季節じゃなくて………
田中 明菜!!
お前の事だよ!!」