文学少女と秋の空
田中 明菜……それは私の名だ………
あきな……あき……
「…へっ!?」
自分でも間抜けな声を上げた。
多分顔はもっと間抜けだと思う。
「いやいや、ちょっ!冗談?」
焦りながら聞く私に、矢神は真っ赤になって顔を逸らし、
「冗談で言わねーよ…マジだし」
と答える。
これがマジだとするならば、矢神はずっと皆の中心でも私の前でも告っていたと言う事になる……
こんな不意打ちな展開って!!
赤くなる顔と、胸の高鳴りに、
本より現実の方が面白いかもしれないと、初めて考える事ができた………
それはそれは…
秋の空が文学少女を外へ導く瞬間……
fin