ままごと遊びで楽しもう


「かわいい子が遊びたいって、綺麗なお姫さまと遊びたいって。うん、みんなで遊ぼうよ。お姫さまは、みんなの『家族』になるんだから」


「……。そうですよ。私は、『みんなの家族』ですからね」


姫君の慈愛は、みんなのために。


この場に限らず、姫君は皆を愛しているのだから。


「あなたばかりを、特別扱いには出来ないのですよ」


みんなが、特別――


そんな姫君の手が、こどもの目を覆うなり、子守唄なくして子は眠る。


膝上に子の頭を乗せ、母親のそれらしく撫でてみせた。


鳥肌は立つばかりだが、耳鳴りが止んだのは、“みんな”もまた寝たからだろう。


日溜まりがあれば、うとうとしてしまうように、姫君の体に寄りかかれば、誰もが安心しきってしまう。


子となれば顕著にそれが分かるであろう。


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