思春期の恋
他人











「1  2  3  4  5・・・・・」









小学校1年生の頃、



小さな手と手を繋いで、



私の家から柊司(しゅうじ)の家まで、


何歩で行けるのかを一緒に数えた。







私の家の前からスタートして、



柊司といつも遊ぶ野原を横目に、



柊司の家へと一歩一歩小さな歩幅で進んで行く。











「97  98  99・・・100!!!



颯(そよ)ちゃんちから僕のうちまで、


ぴったり100歩だよ!!」





私よりも背が小さくて泣き虫で、


私よりも女の子のような顔の柊司が、


私の両手を揺すってかわいく笑った。





「ほんとだ!!


柊ちゃんちまでぴったり100歩!!




もう一回やってみよ!!」






「うん!!!」









そして私たちは



今度は反対の手を繋いで





一歩一歩笑い合いながら、



一歩一歩確かめながら、




私の家へと、



歩き出した。









野原を挟んで100歩隣に、


麻井柊司(あさいしゅうじ)が引っ越してきたのは、


小学校に入学する直前。





同じ学年が、近所にいなかったから、



私は柊司が引っ越してきてくれたことが、



本当にうれしかった。








いつも一緒だった。





泣き虫な柊司



ちっちゃな柊司







同じ年だけど、なんだか弟ができたみたいで、



柊司がかわいくてしかたなかった。





男勝りで、おてんばだった私は、



いつも柊司を守ってあげていた。






それが突然・・・・・








< 1 / 42 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop