思春期の恋
他人
「1 2 3 4 5・・・・・」
小学校1年生の頃、
小さな手と手を繋いで、
私の家から柊司(しゅうじ)の家まで、
何歩で行けるのかを一緒に数えた。
私の家の前からスタートして、
柊司といつも遊ぶ野原を横目に、
柊司の家へと一歩一歩小さな歩幅で進んで行く。
「97 98 99・・・100!!!
颯(そよ)ちゃんちから僕のうちまで、
ぴったり100歩だよ!!」
私よりも背が小さくて泣き虫で、
私よりも女の子のような顔の柊司が、
私の両手を揺すってかわいく笑った。
「ほんとだ!!
柊ちゃんちまでぴったり100歩!!
もう一回やってみよ!!」
「うん!!!」
そして私たちは
今度は反対の手を繋いで
一歩一歩笑い合いながら、
一歩一歩確かめながら、
私の家へと、
歩き出した。
野原を挟んで100歩隣に、
麻井柊司(あさいしゅうじ)が引っ越してきたのは、
小学校に入学する直前。
同じ学年が、近所にいなかったから、
私は柊司が引っ越してきてくれたことが、
本当にうれしかった。
いつも一緒だった。
泣き虫な柊司
ちっちゃな柊司
同じ年だけど、なんだか弟ができたみたいで、
柊司がかわいくてしかたなかった。
男勝りで、おてんばだった私は、
いつも柊司を守ってあげていた。
それが突然・・・・・