思春期の恋
「俺のこと、『柊ちゃん』って呼ばないでくれないかな・・・」
5年生の時、
学校の廊下で、そう言われた。
「・・・どうして?」
柊司は、自分の短い髪をパサっと手の平でこすった。
「嫌・・・なんだ」
そう言って、私の元を去っていった。
それから柊司との間に、
【距離】ができた。
いつのまにか、私の背と同じぐらいになっていて、
いつのまにか、柊司は、
私だけの柊司ではなく、
みんなの柊司になっていた。
声をかけることも、
かけられることも
なくなった。
放課後も遊ばない
家の行き来もしない
柊司は私を、
避けるかのような態度を取るようになった。