思春期の恋
そよこ・・・
「こうしても、全然普通?颯子は」
こうしてもって・・・
後ろから腕ごと抱きしめられて・・・
あ。やばい・・・キャミの左の肩紐が、
肩からずれ落ちた。
直したくても、腕が・・・
その時、私の右側に頬を寄せている柊司が、肩紐のずれに気づいて、
そっと肩紐を元に戻してくれた。
そして柊司が私から離れた。
机に手をついて振り向くと、
柊司は部屋から出て行こうとしていた。
「もう・・・帰んの?」
柊司はドアの手前で振り向いた。
「帰るよ。お大事に」
そう言ってドアを開けて出て行った。
ちょっと・・・
追いかけたくても、今の私の足では無理だ。
何しにきたの。
柊司は何しにきたの。
小5のあの日から、他人みたいな関係になっていたのに、
いきなり部屋にきて、
抱きしめてきて・・・
私はまたひとりで、ベッドに腰掛けた。
自分の体に残る柊司の感触。
まだ、ドキドキしている。
なんでこんな気持ちに・・・
柊司にこんな気持ちになるなんて・・・