◇◆近未来科学商品◆◇【CANDY】


「どれどれ……」

先生はノートを覗き込むとメガネをクイッと上げた。



「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………あの〜?先生??」


「シッ!!ちょっと黙って」

「………はぁ」

「ここ」





先生の長い指がノートの一部を指す。


「え?」

「計算間違ってる」

「“3+2=6”……ほんとだ」


「ハハハハハ!!後藤はこういうケアレスミスが多いよな」


「うぅ〜。そんなことないですよ」

突然目の前で綺麗に笑い出す先生。


あたしはただただバカみたいに驚いていた。




こんな風に笑ったところなんて初めて見た。


意外。

意外を通り越してウルトラミラクルなのかもしれない。





先生の笑顔は、それはもう幼く見えて可愛い。

子供のような笑顔。





放課後の、しかもこんなに外は暗くて……教室にはあたしたち以外に誰もいなくて。


普段は氷のように冷たいのに、今日は子供のように幼い笑顔を向けてくれる。


ドキドキしないほうがおかしいよ。


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