◇◆近未来科学商品◆◇【CANDY】



思えばこの笑顔が、恋の始まりだったんだよね。



先生としてじゃなくて、男として意識した瞬間だった。





そして意識した瞬間、一気に顔が熱くなっていった。



「後藤?なんか顔赤くないか?」


「気、気のせいですよ」


「そうか?それならいいが、もう遅いから駅まで送ってやる」


「へ????い、いいですって!!」


「こんなに暗いのに生徒1人で歩かせるわけにはいかないから。ほら、用意しなさい」


本当に大丈夫なのに……。






この日、あたしは先生の意外な一面ばっかり見た気がする。




生徒に興味がないように見えて、実はすごく心配性だったり。


多分、先生は、人一番あったかい人。


隣で歩いてみてよくわかった。



近くて遠いような距離感で歩くあたしたちなのに、先生のいる方の隣はとても安心できるんだ。




きっと先生は、本当は優しいのに、それを表に出そうとしない人なんだと、あたしはそんなことを先生と歩きながら思ったんだよ?


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