◇◆近未来科学商品◆◇【CANDY】
キャンディ
テカテカと輝く口唇に満足し、あたしは鼻唄を歌いながら机の中にある数学の教科書を探す。
「あっ、そういえば昨日飴買ったんだっけ」
あたしは机横にかけたカバンから飴の詰まった袋を取り出した。
「ほのか〜?飴なんて菅山に見つかったら没収されちゃうよ?」
とやっちゃんは言うけど、わかってないなぁ。
ふ〜っとわざとらしく溜息をついて、やっちゃんの目の前に人差し指を立てズイっと近寄る。
「やっちゃん、先生はね、本当は優しいんだって。だから、あたしが飴持ってても没収なんてことはないの」
これは、勝手な解釈だけどね。
でも、自信があるんだ。
先生は、あたしに没収とか怒ったりとかしないの。
あたしだけ、……“と、特別扱い”してくれるんじゃないかって。
そう思うんだ。
それに……
「それに、これは先生にあげる飴なの♪」
「はぁ??なんで?」
さっき話してた時、先生喉の調子が悪かったから、飴でも舐めたらマシになるんじゃないかなって思ったんだよね。