◇◆近未来科学商品◆◇【CANDY】
「これを……先生に渡せば、ラッキーハプニングとか起こっちゃう?!?!」
キャーっと珍しく甲高い声を出しては、その場で両腕をブンブン振り回す。
もしかしたら、もしかして、もしかすると!!
……あたし、後藤ほのかは大人への階段を上っちゃうかもしれません!!
「やっちゃん!!あたし行ってくる!!!
先生にこのキャンディ渡してくるよ!!輝かしい未来のために!!」
「はいはい、いってらっしゃーい」
なかば呆れ顔のやっちゃんに見送られ、あたしはこのままフワフワ浮いていくんじゃないかってくらいウキウキで廊下を歩いてた。
先生との“もしも”の未来を想像するだけであたしの心はギュッと熱くなる。
そんなことあるわけないって心のどこかで否定していても、それでもやっぱり楽しいほうが人生はいいじゃない。
だから、マイナス思考には目を向けないようにした。
先生??
あたしはさ、子供だからさ、
先生の笑顔のためだったら何だってしたいって思うんだ。
先生の笑顔はあったかくて、ホクホクするから。