◇◆近未来科学商品◆◇【CANDY】
廊下を歩くと、たまに何かのスイッチを押したようにギィーギィーと音が鳴る。
先生なら早足で歩くからきっと足音鳴らないんだろうな。
異様に早く歩く先生の姿を想像して笑いがこみ上げてくる。
階段を上ってもギィギィ……。
でもいいなぁ、この音。
好きかもしれない。
なんでか落ち着く。
3階まで上ってあとは左に曲がるだけ。
ポケットに手を突っ込んで、ピーチの飴を取り出す。
袋に入った飴が2つ、手の平にちょこんと乗っている。
「へへへ」
先生、喜んでくれるかな?
『ドン』
「ってぇなぁ」
突然襲った衝撃にあたしはしりもちをついた。
と、同時に聞きなれた声。
「こんなとこに突っ立ってたら危ないだろ?!って、委員長じゃん」
あたしは、しりもちをついたまま、その場に立っている人を見上げた。
「……ははは。ははっ」
ぅあ〜。
なんでアナタがここにいるんですか。
あたしが角でぶつかった人、
それは世界で一番大嫌いな人でした。