◇◆近未来科学商品◆◇【CANDY】
「今日も、とっても素敵」
机の上に肘ついて、まるでお祈りをするかのように指を絡ませあいながら、あたしは先生が教壇から立ち去るまで、じっと眺めていた。
「って、先生いっちゃうじゃん」
あたしは机の上に開きっぱなしだった教科書を持って慌てて先生を追いかける。
あぁ〜先生、後姿も素敵です。
ピシッと伸びた背筋。
スラッとした足。
先生は足が長いから歩くのも早い。
少し小走りになりながら先生を追いかける。
「っ先生!!菅山先生!!」
その声に気付いた先生は眉間にシワを寄せ、振り返る。
振り返る瞬間、勿論、あたしのビジョンではスローモーション。
キラキラ輝く光の粒が毛先にまで輝き放ち、とってもかっこいいんです、先生は。
先生はあたしの顔を確認すると、
「なんだ?今日も質問か」
とまだ少しチョークの粉がついている指でメガネを押し上げた。
「はい!あのー、ここなんですけど。
どうして、このχが、こっちにきて3になるんですか?」
教科書を見て、即興で考えた質問を先生に投げかける。