◇◆近未来科学商品◆◇【CANDY】


先生はあたしの持つ教科書を少し屈んで覗き込む。

近づいた髪からは先生らしい清潔そうな香りが香る。





「あ〜、これはだな……ン゙ン!!!」


「先生?大丈夫ですか?」

「すまない。チョークの粉が喉に入ったようだ」



あたしもよく日直の時、黒板を消していたらチョークの粉が顔中に降ってきて吸い込んじゃったことがある。



先生は毎日だもんな。

吸い込んじゃったりして大変なんだろうな。


喉、大丈夫かな?




先生は腕時計で時間を確認すると、
「後藤、すまないが、次の授業の用意をしなければいけないんだ。だから、悪いが昼休みにでも職員室まで来てくれないか?」




先生……。

喉の調子がおかしいのに、ごめんなさい。





あたし、昼休みにまで先生と一緒にいれるなんてすごい嬉しいです!!



「はい!!わかりました!!!お昼休みに職員室のほうに行きますね!!」

「すまないな」

「いえいえ!むしろ嬉しいです」


先生は一瞬「???」という顔つきをして、また一言「すまない」とだけ言って廊下を歩き出した。



< 3 / 46 >

この作品をシェア

pagetop