◇◆近未来科学商品◆◇【CANDY】
先生はあたしの持つ教科書を少し屈んで覗き込む。
近づいた髪からは先生らしい清潔そうな香りが香る。
「あ〜、これはだな……ン゙ン!!!」
「先生?大丈夫ですか?」
「すまない。チョークの粉が喉に入ったようだ」
あたしもよく日直の時、黒板を消していたらチョークの粉が顔中に降ってきて吸い込んじゃったことがある。
先生は毎日だもんな。
吸い込んじゃったりして大変なんだろうな。
喉、大丈夫かな?
先生は腕時計で時間を確認すると、
「後藤、すまないが、次の授業の用意をしなければいけないんだ。だから、悪いが昼休みにでも職員室まで来てくれないか?」
先生……。
喉の調子がおかしいのに、ごめんなさい。
あたし、昼休みにまで先生と一緒にいれるなんてすごい嬉しいです!!
「はい!!わかりました!!!お昼休みに職員室のほうに行きますね!!」
「すまないな」
「いえいえ!むしろ嬉しいです」
先生は一瞬「???」という顔つきをして、また一言「すまない」とだけ言って廊下を歩き出した。