◇◆近未来科学商品◆◇【CANDY】
先生、ずっと迷っててくださいね。
そしたら、その間はずっと一緒にいれますよね?
離れるのが名残惜しいから、そのまま瞼を閉じ寝ている振りをした。
この温かさをいつまでも感じていたい。
先生の傍にいたいな。
車の止まった気配を感じる。
起こされちゃうかもしれないな。
起こされたら、先生との時間が終わっちゃうな。
そう思っていたのに、先生に起こされる気配はなく、ガサガサと何かをあさっている音が聞こえてきた。
そして、その音が止んだと思えば、また静かに車が動き出した。
薄目を開けて、先生の方を覗き見ると、先生は何か紙を見ながら運転をしていた。
あれは……なんだろう?
「ん?起きたか?」
あたしに気付いた先生が珍しく微笑みかけてくれる。
「……はい。先生?それはなんですか?」
本当は寝てないんですけどね。
なんて言えないけれど。
「コレは……生徒の個人情報」
「え?」
「生徒の住所とか電話番号とか……成績とか、健康状態とかが詰まったものだ。一応持ってきたんだ」
「あぁ……そうですか」
準備のよろしいことで……。