◇◆近未来科学商品◆◇【CANDY】
「橘先生?」
ヒラヒラと短いスカートが左右に揺れ、生徒に興味がないはずなのに、視線だけは見えそうで見えない足に集中。
そんな時に背中にかけられた冷たい声。
後ろを振り向き、声の元をたどる。
そこには、俺よりも、もっとベテランの、菅山先生がいた。
正直、俺はまだこの教師が苦手だ。
お堅い“「です」「ます」調”のしゃべり……息が詰まってしまいそうになる。
「……なんですか??菅山先生」
ニッコリと笑うと菅山先生は一瞬だけ顔を曇らせた。
「いえ、ただ……生徒にあのような態度をとるのはいかがなものかと思いまして」
「はい?」
「ですから、生徒に対してむやみに頭を触ったり、腕をまわされても断らなかったり……」
菅山先生はメガネをクイッと上げて、言いにくそうに下を向いたまま話していく。
「あ〜、そうですね。これから気をつけます」
俺は、頭をかきながらそう答えた。
というか、そう答えるしかなかった。
早くどこかに行きたかった。