◇◆近未来科学商品◆◇【CANDY】
どの先生よりも優しくて、どの先生よりも温かいってことだった。
そんなことに初めて気付いたのは学園祭の準備をしていて、1人、教室に残っていたときのことだった。
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あたしは、なぜか学級委員とか実行委員とかそんな役に選ばれる。
今回は学園祭の実行委員+会計だった。
どうしても手元にあるお金の合計とレシートの金額が合わなくて、ひたすら計算式と戦っていた。
『ガラっ』
突然開かれた扉の音にビクッと体が跳ね上がる。
と同時に聞こえてきたのはいつもは冷たく聞こえていたはずの声だった。
だけど、この日に限って柔らかに聞こえたんだ。
「なにをしているんだ?」
「……先生?」
「こんな時間まで1人で何をしている?」
「先生。見て分からないかなぁ?会計ですよ、会計」
「何かあったのか?」
先生は泣きそうになっているあたしに気付くと、コツコツと靴の音を響かせてあたしの前の席に座った。
あたしは金額をつけたノートを見せ
「どうしても金額が合わないんですよ」
と泣きついた。