私の選択肢~彼はバンドマン~
「ん??」
聞き取れないほど小さな声で淳くんは言った。
聞こえないふりをして聞き返したけど
「ううん、外で待ってよう。」
ハチミツの笑顔で誤魔化された。
…泣いてた?
あたしには見えなかった。
いつもの翔くんで優しい声で。
「お待たせ。」
優しい笑顔で近づく翔くんにこっちも笑顔になる。
「もぅ、すっかり冬だよなぁー。」
豊さんが子供みたいに笑った。
胸の辺りが疼いた。
ハンバーガーショップに着いてそれぞれ注文をし席に着いた。
「沙織ちゃんさぁ、翔の幼なじみなんだってね。」
豊さんが話し始めた。
「はい。でももぅ、5年会ってなかったから…」
うつむいてポテトを頬張る。
「ごめんね。それ。俺が悪いんよ。俺が連れ出した。」
子供のような笑顔が消えて真剣な顔で見つめられた。
「謝らないでください。あんなキラキラした翔くんみれたから。」
っぶ!!
ケホケホ
「キラキラって(笑)」
翔くんは吹き出した。
「きったねぇーー」
と豊さんがナフキンを翔くんに渡してもぅ一度あたしを見た。
何も言わずに子供みたいに無邪気な笑顔で。