青空の神様
あたしは家に入ろうとした、しかしあたしの体は透けていて、物に触れることはできないつくりだったから、どうすればいいのか分からなかった。…答えはすぐに出た。そのまま通り抜ければいいのだ。今さっき、少年が入って行った、縁側のガラス戸から入ろう。 通り抜けようとした、その瞬間、目の前に女の人が現われ消えた。      後ろを振り向くと、その人は、まだ干してあった洗濯物を忙しく取り込んでいた。そっか、もう夕方だから、むしろ干し忘れていたくらいの時間だろう。その人は、この時代の割には足が長くすらっとしていて、茶色のブラウスと紺色のキュロットスカートの長い様なものを履いていた。髪は黒く肩よりも5センチほど短く、キレイにカットされていて、健康的な印象を受けた。これが、あたしの祖母。若い祖母は、くるっと振り返り、洗濯物を抱えながら、縁側から家の中にあっと言う間に入って行ってしまった。あたしは、不思議なこの世界に少し慣れてきたつもりだったが、つい目の前で起こる出来事を見入ってしまい、ボーッとしてしまう。         この世界は、空が飛べて、時空も飛べる。アニメの世界みたいだった。
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