青空の神様
二人は食事を終えると、仲良く片付けをし、テレビをつけた。画面の色は悪く、白黒で、たぶんバラエティー番組だろう、二人の男が笑けて見せている。でも、やっぱりテレビは音が聞こえないと、なかなかあたしは楽しめそうになかった。暇なので、あたしも二人と一緒にちゃぶ台を囲んでみたり、二人に声をかけたりしてみたが、やはり全く反応はなかった。
ため息を吐いて、気付いた。この家には父親の存在がない。         確か、おじいちゃんは若くして亡くなったと聞いていた。しかし、まさか、まだ少年父は小学1年生くらいだし。こんなに早く、おじいちゃんが亡くなっていたなんて。ショックだった。きっと、少年は悲しかっただろう、寂しいだろう、心細いだろう。あたしは少年の背中を後ろから抱き締めた。抱き締めるように、抱き締めた…。      あたしはいつだったか、酔っ払って帰って来た父が、玄関で靴を脱ぎながら、一人言をボソボソ言っているのを思い出した。「俺は親父がいないから、手本がないんだ、だから分からねぇんだ」と…。あたしは、父に怯えていたし、嫌いだから、その言っている意味が投げやりで、乱暴な言葉に聞こえた。
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