青空の神様
あたしはごく普通の小学三年生を演じる。夏休みにプールに連れていってもらう、ウキウキした感じを。少し足早に、家の中を歩き回り、洗面所でプールバックを手にする、次は水着だ、水着は晴れた庭に干してある。茶の間から庭に出て、暑い日を浴びながら、水着と、あの人のタオルも手に取る、心はどこかへ置いてきてしまっていた。 あたしは太陽の眩しい光が心地いい様な表情で、振り替える。そこには誰もいなかったが、その夏休みの子供らしい表情はそのままにしておいた。太陽は眩しく輝き、あたしの作り物の表情を誰も見破る事なんてできなかったのだ。神様でさえ。ただ眩しくて、目の前すら見失うほど、ただ眩しくて。 プールの準備をすると、玄関でビーチサンダルを履きながら、母と祖母に向かって「行ってきまーす。」と言い外に出た。二人は仲良しで、楽しそうに話をしていたが、あたしの声に話を中断し、「はいよー。」「行っておいで。」と楽しい話のトーンのまま、あたしを声で見送った。もう、行くしかないから、車に向かう。車では、あの人が眩しそう眉間にシワを寄せ待っていた、あの表情からは、今日は機嫌がいいのか悪いのかは全く分からなかった。車に乗るまでに、転んで大怪我をしたいと思った。